音を出す

Hendrick ter Brrughen"Flute players"1621
 音を鳴らしてみましょう。
このような一本の筒で、どうして音が鳴るのだろうか?
と、最初は僕も思ったものです。弦楽器なら、弦をはじく
だけで音が鳴ります。音を出すしくみが、目に見えます。

 同じ笛でも、ティンホイッスルなら、だれでも簡単に音を出す
ことができます。マウスピースについているウインドウェイ
があるためです。

 しかし、アイリッシュフルートは自分の唇を使って、
音をださなければいけません。これは、ティンホイッスルに
比べると一見面倒なようですが、逆に作れる音色の幅が
広く、同じ楽器でも、人によってまったく音色が変わる、
という変幻自在さを表しています。このような、フルートや
管楽器を吹くための唇の形を、アンブシュアといいます。

 ここでは、楽器を組み立てる前に、楽器の頭部管だけを
使って、音を出す練習をしてみましょう。


●音の鳴る仕組み●

 フルートなどの管楽器は、唇から出た息が歌口のエッジ当たって管の内と外へ分かれ、
管の中に空気柱が発生して振動し、楽器が反響して音が鳴る仕組みです。
これは空き瓶に息を吹き付けて鳴らすのや、ウィスルを鳴らすのと同じ仕組みです。
ただ、ウィスルの場合はウインドウェイがフルートの唇と同じ役割をもって固定されているので、
音をだすために何の苦労はいりません。

 アンブシュアだけで言うなら、ピッチ(音程)は息の速度、唇と歌口の距離、唇から出る空気の
方向などで変化します。共鳴する管の長さでも変化します。フルートの場合、指穴を塞ぐことで
管の長さを変化させています。

 フルートを吹いたことのない方は、少なからず鮹のように「口をとがらせて吹く」
のではないかと思っていらっしゃるようですが、瓶を吹くのも同じ、アンブシュア
(唇の形)を作らなくてはいけません。

 ウィッスルのウィンドウェイはどの楽器もほぼ一定ですが、唇の形は人それぞれです。
 よって、アンブシュアも人により、また得たい音により異なりますが、ここでは、一般的にいわれることを
かいていきます。

●アンブシュアのつくり方●

 2-1・唇の形

 まず口を閉じた状態で、唇を左右両側へ、軽く引っ張ります。
次に上の歯と下の歯の間を少しあけて、唇の真ん中に、小さい丸い穴を作ります。
この穴から息が出てくるようにします。 

息の出る方向を唇で変える方法を覚えましょう。

 アンブシュアの形を作って、顔の前に掌を出し、掌のまん中に息を当てます。
 次に手や顔は動かさずに唇だけを使って、息の方向を変えて、指先に息を当ててみます。
 それができたら、手首に息を当てて見ます。
 このとき、あなたは息を上に向けるには、下あごを前に出し、息を下に向けるには、あごを引いて、
 上唇を少し出したはずです。このようにして、唇で息の方向を変える感覚をつかんでください。

 2-2・頭部管をあてる
 
 頭部管を口にあてます。下唇の付け根、つまり歯茎のあたりがくぼんでいるはずなので、そこに
管をあて、安定させてください。この際、唇と管は平行になるようにし、歌口の手前のエッジを、
下唇でふさいでください。2-1の方法で、アンブシュアを作ります。鏡を見て、歌口の穴と、唇の穴の
位置をあわせてください。

 2-3・息を出す

歌口のエッジに向けて、優しく息を出してください。息が強すぎても、弱すぎても音は出ません。
 音が出るまで、息を出し続けます。

 音が鳴ったら、そのまま息が続かなくなるまで音を出し続け、唇や息の感じを覚えましょう。
 ならない場合、2-1で示した方法で、息の当たり方を模索して、音の出る場所を探してください。

 もし、途中で音が鳴らなくなったら、一度楽器を離し、リラックスして、もう一度2-1〜2-3までの
方法を試してみましょう。



●頭管部だけでの練習●

3−1・音を探る

 2の要領で音が鳴ったら、そのまま頭管部だけで音を
出す練習をします。唇の形や、息の出し方をいろいろ試し、
もっともクリアーで強い音色が出せる形を探しましょう。

 ある程度わかってきたら、次に、息を思いっきり吸い
込んで、息がなくなるまで音を鳴らしてください。このとき、
音が途切れたり、揺れたりしないように、できるだけ安定
して出るようにしましょう。
 この練習を、ロングトーンの練習といいます。

3−2・問題とヒント

 ・音がかすれる
 息の量が多すぎるか、圧力が高すぎる場合があります。
 音を出しながら、息の量の少ない状態から、徐々に多くしていく、あるいはアンブシュアをリラックス
した状態から、序々にしぼっていく、というなかで、いい音を探りましょう。

 ・息が切れる
 最初の頃は、すぐに息が切れ、頭がくらくらするでしょう。これは、音が効率よく出ていないのに、
音を出そうとがんばりすぎて、使う息の量が増えているためです。出した息が効率よく音に変わる
ようになれば、そんなに息をたくさん使わなくても済みます。だいじょうぶ!すぐに慣れてきます。

 ・口のまわり筋肉がつかれる
 きつく口をしばりすぎていませんか?
また、フルートの音を出すための筋肉の使い方は、ふだんしゃべったり、食べる時にしか使わない
口の筋肉の使い方とは違うものです。音を出している内に、いずれ発達していきます。

アドバイス。。。


 私の先生のEamonn Cotter氏がよく言うことです。
バンジョーやフィドルなら、音は楽器でほとんど決まってしまう。でも、フルートは自分で音を
作らねばならない。だから、フルートはいい音を得ることが、がいちばん大事なのだ……。

 私もこの考え方に強く納得しました。
もし音が悪ければ、どんなに運指が達者でも、魅力的な音楽にはなりません。
それどころか、無理に音を出そうとして、すぐに疲れてきてしまいます。
 とはいえ、「いい音」を得るのは、一生かかることだと思います。
 そのためには、できるだけロングトーンの練習をしたり、日頃から音色に気をつけるように
意識したらよいのではないでしょうか。




Copyright(c)2004 Tomoaki Hatakeyama All rights reserved.
掲載の記事・写真・イラストなどの無断複写・転載・商用利用を禁じます。