Since 2008.05.28
アイリッシュフルート
 
<< えにしの物語 >>

 人生は、出会いや偶然の重なりによって思いがけない方向に進んで行きます。

 きっかけはたったひとりの人、一冊の本、一通のEメール、1曲の音楽かもしれません。人生の流れ。そこには私達の意思を越えた見えない力が働いていように思われます。

 旅が好きで毎月どこかへ出かけてゆく私ですが、中でも和歌山、三重、奈良の3県にまたがる 熊野との出会いは、私に大きなインパクトを与えました。

 熊野の魅力的な人々や雄大な自然、信仰に出会い、今まで知らなかった日本の魅力や、誇りを胸に土地とともに生きる人間の織りなす物語に、私は魅了されていきました。

 これまで十年以上もアイルランド等の外国の伝統音楽を演奏し、ヨーロッパばかりを見てきた私ですが、これからは生まれ育った日本に目を向けることで、自分らしい表現方法を大切にしたいと思うようになりました。

 このCDは、熊野の人や自然、そこでの体験をもとにした作品を中心に収録しました。タイトルの「えにし」には私を導いた出会いへの感謝を込めており、また、音が似ているアイルランド語で「島」を表すinis(イニシュ)にかけあわせています

東の島 日本から、西の島アイルランドへ。

これまで出会ったあなたと、これから出会うあなたへ。



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<<  試聴と、CDブックレットに載せられなかった曲紹介 >>

1・いぶき 
(hatao作曲)

春の熊野古道で出会った、植物の鮮やかな緑、やわらかな光をイメージした曲。当初は曲調が「えにし」と似ていたため、ギターとハープを下地に、弦楽四重奏を加えた、弦の響きに変えることにしました。ギターは、東京からフラメンコやフォルクローレで有名な智詠さんが、はるばる神戸まで来て下さいました。

弦楽編曲は大森ヒデノリさんが引き受けて下さいました。ドレクスキップのvlaの野間君、vlの榎本君にも参加頂き、お陰で春らしいみずみずしい曲になりました。アルバム中一番気に入っている曲です。

2・かわいいキャサリン
(カナダ伝統曲)

 

カナダの東部にあるケベック地方は、フランス語が公用語で、独特のケルト音楽を演奏しています。中でも目を弾くのが、アコーディオン奏者やフィドル奏者が、演奏しながらタップを踏むこと。「タッタカ タッタカ」というリズムが特徴です。

ずっと、どうやってタップしているのか気になっていたのですが、2010年に台湾で開催されたboxwood festivalに参加したおり、ダンス講師のPierre Chartlandさんから習うことができました。ケベックではフルート奏者は少なく、このようにタップを踏みながら演奏している人は見たことがありませんが、ぜひ目指したいものです。

CDでは、タップを収録するために革靴をスタジオに持ち込み、板の上で僕がタップを踏みました。どんな音になっているか、お楽しみに。パーカッションの池田さんの、遊び心たっぷりの演奏が素敵です。

3・縁 ~ enishi ~
(hatao作曲)

こうしてケルトの笛を演奏し、CDを出すことができたのは、支えて導いてくれた人との大切な出会いがあったから。僕の人生がこんな風になっているとは、18歳の僕には思いもしなかったことでした。そして、今、とても幸せです。

出会いに感謝、というキーワードの曲。もともとは"whistle tune"という仮題がついており、バスG管のホイッスルで演奏していた曲ですが、フルートに替えて正解でした。シンプルながら美しい旋律に、演奏していて涙が出そうになることがあります。

間奏部分は複雑な転調をしているのですが、とてもお気に入りです。フィドルの温子さんいわく、「海にもぐってゆく感じ」だそうです。

4.Coolin
(アイルランド民謡)
 

Coolinは、アイルランドのトラディショナルなスロー・エアー(ゆっくりとした旋律)。この曲を、もう何年も吹いていますが、ようやく自分のものにすることができました。本当に、スローエアーは奥が深いです。ヴァイオリンと通奏低音による編曲はアイルランドでも聴くことができないでしょう。

奈未さんのシンプルで繊細なピアノにはいつも新鮮な感動を覚えます。

続くジグは、昔はChristy Barry's jigを演奏していましたが、代わりにこちらを選びました。
リールでは、中国の笛奏者から覚えた循環呼吸法を使って演奏しています。全体で10分近くにもなる長大なセットです。

5・.二つの小径
(hatao作曲)

2010年4月に熊野の湯の峰温泉で作曲しました。森の中を歩いてるイメージの曲です。迷いの中に、一条の光が射す様子を描きました。アイリッシュにはない、和声的短音階で作られています。

レコーディング中に森の音を収録することを思いつき、映像作家の神吉さんに芦屋のロックガーデンに連れて行ってもらいました。 間奏の佐々木さんのベース・アドリブソロが素敵です。

6・Ivory Horo 
(hatao作曲)

ブルガリア風変拍子の曲。13/8や10/8、7/8などの複雑な拍子が繰り出されます。ブルガリア人の弦楽器奏者にこの曲を弾いて頂く機会があったのですが、ブルガリアには実際にはこのような拍子は存在しないのだそうです。空想のたまものですね。
こんな曲もさらっと弾いちゃう奈未さん、すごいです!
途中のアドリブ・ソロではドレクスキップの榎本君があやしいソロを展開。僕は多重録音で彼を伴奏しています。

7・そして振り出しに戻る
(hatao作曲)

フィドルで演奏されるスローエアーの雰囲気でフルートを吹いていて、できた曲。アイリッシュでは使わない音域(3オクターブ)を使い、かつバッハの無伴奏ソロのような進行にして作りました。さらに、対旋律と通奏低音はディック・ヘンソールドさんのアレンジ。

クラシックともアイリッシュともつかないフィドルは、温子さんにしかできない芸当です。奈未さんの電子チェンバロとチェロがいっそう古楽の雰囲気をにおわせています。

8・karma
(hatao作曲)
 

もともとは、ドリア調(中世の教会音階)のルネサンス的な曲を創ろうと思ったのですが、演奏してみると尺八風の音色が良く似合ったため、方向を変更、コード進行も少しジャズ風にしました。シンプルな16小節の曲だったのですが、シタール田中峰彦さんがCメロを作って下さり、僕にはない発想の進行でとても気に入っています。
フラメンコ・ギター、シタール、尺八風フルート、ジャズベース、という無国籍な感じの曲になりました。

曲の終わりには、和歌山県新宮市王子が浜の玉砂利の音を収録しています。初めてこの場所に行ったとき、波が弾いて行く時のざざーっという音にとても感動したのです。映像作家の神吉さんが収録した音を使わせて頂いています。


9・ちゅうちゅう奥さんのポルカ
(hatao作曲)

ウェールズの曲集を練習していて思いついた曲。1曲目ができたら、すらすらと3曲目まで書けてしまいました。
しばらくはウェリッシュ・ポルカと呼んでいました。 実際にウェールズに行った時にこの曲を演奏したところ、確かにウェールズ風だ、と喜んで頂けました。

天澤さんのウィットあるフィドルはとても気に入っています。3曲メドレーのうち、最後の曲はややバロック風のメロディで、天澤さんの超絶なソロがさく裂しています。

10・The Way East
(hatao作曲)

スコットランドのスモール・パイプスをイメージして作った曲。もともとは1曲目も2曲目も1オクターブで吹けるように作ってありました。どんなアレンジにしようかと悩んでいた頃、僕の大学ジャズ部時代の足立先輩に十数年ぶりに再会し、エレクトロニカやクラブ系を得意な作曲家になっていることを知り、お願いしました。この曲だけ、エレクトロニックを前面に出した異色の曲です。

11.Pale Insanity
(hatao作曲)

変拍子の曲。もともとはブルターニュの演奏者がやりそうな曲をと思って書きました。どんどん拍子と調が変わってゆくr曲です。アレンジに悩んでいたので、後輩のバンド、ドレクスキップにまる投げしたところ、見事に彼ららしいアレンジにしてもらいました。野間君の得意とする絡みあう旋律、ポリリズムは出色です。アドリブ・ソロもカッコよく決まりましたね。

12.もみじ
(岡野貞一作曲)

2010年に来日したアメリカのパイパー、ディックさんとのレパートリーを考えていた折り、ちょうど秋だからと安易に選曲した「もみじ」。
収録してみると、 春の「いぶき」に始まり秋の「もみじ」に終わるという、良い流れになりました。
フルートの歌口にセロテープを貼って尺八のような音色を再現してみました。バグパイプが意外と違和感なく溶け込んでいます。
<<  参加ミュージシャン>>
上原 奈未 : ピアノ、アイリッシュ・ハープ
大森ヒデノリ : フィドル
笠村 温子 : フィドル
天澤 天二郎 : フィドル
古後 公隆 : チェロ
佐々木 善暁 : ウッド・ベース
智詠 : スパニッシュ・ギター
田中 峰彦 : シタール
池田 安友子 :  パーカッション
足立 知謙 : プログラミング
Drakskip(ドレクスキップ)
榎本翔太 : ニッケルハルパ、フィドル
野間友貴 : 5弦ヴィオラ
浦川裕介 : 12弦ギター
渡辺庸介 : パーカッション
ディック・ヘンソールド : ノーサンブリアン・スモール・パイプ
<<  師匠からのコメント>>
  数年にわたりhataoとその音楽を知ることができたのは、私にとって
光栄なことでした。彼は研究熱心で、西洋のルネサンス音楽やバロック音楽、
ケルトの伝統音楽、日本の伝統音楽など幅広い音楽に精通した、素晴らしく
才能のある音楽家です。

 彼がこれほど特別で興味深いのは、これらの異なった音楽的要素を
知的好奇心、知性、創造力、誠実さ、遊び心を注ぎこみ、彼の極めて
個性的な視点と演奏スタイルに仕上げている点です。それは、
素晴らしい芸術家の証だと私は考えています。

クリス・ノーマン (フルート奏者)

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クリスさんは、僕が十年来憧れて目標としてきた、カナダの木製フルート奏者です。 こうして師匠のコメントを飾ることができて、最高に嬉しいです。

<<  リスナーからの感想>>
★色々なジャンルを取り入れつつも、根っこはしっかりアイリッシュ。
どの曲のどの部分を切り取ってもhataoさんらしさが感じられる素敵な作品。解説と美しい写真を見ながら聴くと深みが増してより一層楽しめました。

★やはりアイリッシュ・フルートの音色がいいですね。今のお気に入りはPale
InsanityとKarmaです。写真も素敵です。ふらりと旅にでかけたくなるそんな写真です。

★「いぶき」の爽やかさをはじめ、テンポの速い曲もいいですが、遅い曲のクー リンは聞かせますね。カルマもいいし、ペイルインサニティモ興味深いです。

★特典音源での曲も、特典だけでこれだけの音楽を聴けるなんて♪と感激していま したが、CDを聴かせていただいて、それぞれの曲の奥深さというか、本気の表現 というかに「これなのか!」と、特典音源との違いを気持ちよく味わえ、風景を 感じるような曲に心地よくなれました♪
素敵な音楽、ありがとうございます♪

★「縁」聞かせていただきました。素敵でした。美しさと力強さが混在していて、 癒されるのではなく、むしろ感情が揺さ振られてちょっと消耗する感じで、私は 音楽や芸術に触れてそういう感覚になるのが大好きですので。

演奏と写真とメッセージが豊かなタペストリーを織り成していますね。「先生の精神のあり場所」と「日本発のケルト音楽の創生という思い」から生ま
れた曲・演奏なのだと感じつつ聞かせていただきました。そして、私はすごい人 に教わっているんだ~と改めて感じています。

★私はどの曲もそれぞれに好きで順番をつけるのは不可能なのですが、子供と盛り上がるのは「ちゅうちゅう奥さん」です^^  笛とVnの早いパッセージがピッタリハマる後半は何度聴いても快感です。

★ ハタオさんがこだわり抜いた妥協の一切ない作品なんだと、一音一音からジャケットから写真から、ひしひしと想いの深さが伝わってきました。

★hataoさんの表情豊かな演奏は聴き応えあります。贅沢な1枚です。みんなでこの感動を共有しなイカ?

電車の中でお部屋の中で・・・
色んなとこで色んな気持ちで楽しませていただいてます。
自然と涙が溢れ、元気が出ます。
まるで熊野を歩いているみたいだ~。
いつも愛に溢れた素敵な音楽をありがとうございます。


★毎日CDをヘビーローテーション中です(笑)
hataoさんの笛の音色は、とても心地いいですね。聴きながら、適切な表現は何かなあ・・と漠然と考えていて、「癒す」という言葉は、時として軽々しく使われがちなので、しっくりこなかったのですが、自分の中で、「心地いい」という表現に落ち着きました。心地いいから、ずっと聴いていたくなるんだろうなあ・・と思います。

CDジャケットに書かれている言葉も、とても心に響きました。特に、「二つの小径」に書かれている、人生の選択のくだりなど。きっとhataoさんの敏感な感性とか、温かい人柄が表れているのだろうなあ・・と思います。

 

初めて you tube で「縁」を聞いたときから大好きで、CDができるのを楽しみに待っていました。実際にCDを聞いてみて、その多彩さにまず圧倒されました。曲が変わるたびに、全く違う世界が開けてくる。

1本の笛から、本当に豊かな世界が作り出せるものなのですね。
なんとなく「縁」(曲)から連想していたのとは、また違った世界がそこにありました。

でも、やっぱり一番好きなのは「縁」です。それと「いぶき」。この2曲は、どちらがより好きか決めかねています。透明な明るさと平穏。両方とも、今の私の気持ちにしっくりと寄り添ってくれます。

CDとは別に送っていただいたフルートとピアノだけの録音。こちらも楽しんでいます。豪華に着飾ったCDの曲とはまた違った、さりげない、こちらの曲も素敵です。 


★CDを受け取り、早速聞かせていただきました。演奏がすばらしいのはもちろんですが、曲も編曲もかっこよくて、とても好きです。なんというか、みずみずしさが溢れている感じで、心と体の隅々に染み入る思いでした。しかも、1曲1曲違った趣で、一枚で12度おいしい、とても贅沢なCDですね。

★サンプルで頂いたシンプルな編成のものもとても好きですが、色々な楽器とのアンサンブルや多様なアレンジに驚いたり、丁寧な解説を読んで、曲に対する思いを感じ、違った印象で聴けたり、キレイな写真にイメージを重ねたりして1枚で何度も美味しい^^思いをさせていただきました。

エフェクターもあまり強く使っていらっしゃらない(?)せいか、
すぐ近くでライブを聴いているような感じがするのもとても良いです。

是非、他の人にも薦めたいと思います!!

★ブルガリア風のIvory horoがかっこいいです。あとCoolinのセットには圧倒されました。上原奈美さんのラグタイム風ピアノとhataoさんのフルート、すごくグルーブ感あると思います。

★なぜかとてもとても懐かしい気持が溢れてきました。熊野の写真もそうです。素敵な音楽を届けていただき本当にありがとうございます(^_^)v

熊野の持つ美しさやエネルギーと、はたおさんの持つ熊野への憧れの念がクリアに伝わってきました。静かな心で聴きたいアルバムですね。

写真集も素敵です。 写真も書も共演者も、みんながはたおさんの持つ想いを充分に感じて、それぞれがそこに心を持ち寄って重ねていったような、愛を感じる作品でした。

 

 
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