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労働者と経営者
2007年12月25日 06:33

友人(といっても一回り年上)のご夫妻が経営している建設会社が年末で猫の手も借りたい状態、とのことなので、お嫁さんと一緒に手伝ってきた。久しぶりの事務作業のバイトである。手伝いに行ったのは、会社設立の経緯や事務のノウハウをちょっとでも見てみたいと思ったからだ。

ここは舗装を専門に高卒で20年間やってきた旦那様と、外資系の会社の社長秘書をやってきた奥様が今年設立した会社で、役員のご夫妻を除くと社員数1人+アルバイト(かな?)と小規模だけれど、とても繁盛している様子だ。作業の内容は書類作成と伝票の整理なんだけれど、たくさんの刺激を受けて、その後で色々なことを考えた(仕事が終わるまでは忙しすぎて全然余裕がなかった…)。

いまさら言うまでもないが、世の中の頭脳明晰で仕事がものすごく出来る人というのは、学歴とは一切関係なく存在する。70年代に生まれた僕達には終身雇用や学歴社会というのは高校を出るくらいまではしっかりあって、それを支えていたのは高学歴→高収入というレールが前提だった。今こんなことを言おうものなら鼻で笑われてしまうだろう。僕もまたそれを信じて一生懸命に勉強を頑張ったタイプだ。

でも、現在は高学歴のフリーターが世にあふれているし、大学院に行っても就職難が深刻だ。それよりも中卒や商業高校卒や専門学校卒で手に職をつけている人のほうが数倍も稼いでいる。大学生だけど信じられないくらい未熟な子もいるし、学歴って見栄と趣味の問題なんじゃないかと真剣に思う。今、自分のお金で社会人学生として大学に入れたら学費をどれだけ有効に使えるかわからない。

良く中卒の社会人は「自分は学が無いから…」という。先日もある漫才師が本にそう書いていた。でも、学が無い人こそ学習意欲が高くて一生勉強する。それに比べて難関大卒でもう勉強は終わったんだからと気を抜いてしまうと、その差はすぐに縮み、やがて抜かれてしまう。人生の中で学校で学ぶ時間と量なんて、たかが知れているんだ…。

この会社に関して言えば、奥様は社長秘書時代に会社の運営やジムのノウハウを身につけ、結婚後は旦那様に独立を薦めてずっと励ましてきたそうだ。現場のプロと会社運営のプロの2人は、本当にベストパートナーだと思う。どちらか片方では会社にはならなかったことだろう。そして、お二人とも本当に頭が良くて、仕事ができるからここまで出来たのだ。

僕は人の期待に応えるために勉強に励み、こんなことを覚えて何になるんだろう、と疑問を持たずに、言われるがまま期待されるがままに勉強してきた。国語 算数 理科 社会…。社会人になって役に立った知識なんて、本当に少ない。それよりも、常識や生き方やお金の稼ぎ方や使い方を学んでおけばよかった。成績は良くても頭は悪かった、と言われても仕方が無い。でも、今からどうするかが問題なので、後悔はそのくらいにしておきます。

経営者と労働者の差というのにも考えさせられた。

優れた労働者が経営者になれるのではない。志があり頭の良い労働者が経営者になるのだ。この会社の社長のように20年現場をやってきたって、ベテランの職人で一生を終える人もいる。
何十年現場で経験を積んだって、会社登記の方法や税務処理や事務の流れが身につくわけではない。現場で完璧に仕事が出来た上で、さらに時間とエネルギーを使って勉強ができる人だけが、上の立場になる資格を持つのだ。

音楽でも一緒だ。日々のレッスンやコンサートに追われるだけではなく、その上プラスアルファをして自分の価値を高めることができる人だけが、上にいける資格を持つのだ…。

労働者と経営者は世界がまったく違う。労働者は、自分の給料を時給や日給や月給で計算する。いくら目の前の仕事に没頭して成果を上げても、給料は「いくら(時間)働いたか」で計算される。時間をお金に変える世界にいる限り、いきなりものすごく儲かる、ということはありえない。
よく、アルバイトが定時(例えば時計が16:59から18:00に変わる瞬間)になるまでタイムカード機の前で待ってからタイムカードを押す、というのがあるけど、経営者には理解できない発想だと思う。
そういう感覚に慣れてしまうと、自分の価値は時給いくらいくらです、と時間を切り売りしてお金に換える発想になってしまう。そうなれば、たくさん稼ぐのは困難になるだろう。僕も昔はそういう発想だった。

経営者は、ビジネスがまったく儲からないときもあれば ものすごく儲かる時もあるから、時間をかけたら稼げるわけではないことを良く知っている。だから仕事には、ある意味で時間の感覚がない(一方でものすごく時間にシビアだったりするけど…言っている意味、伝わりますか?)。
日々の稼ぎはもちろんだけど、それ以上に遠くのビジネスチャンスを見据えているから、細かいプラス、マイナスでは動じなくなる。そうなると、沢山稼げる可能性も出てくる…。

労働者の視点でいる人は、視点を変えない限り一生労働者で終わってしまう。たとえ資格を取ったりして「優れた労働者」になって、より多くを稼ぐようになっても。

今あるフリーターや派遣労働の雇用問題で深刻なのは、正社員の雇用が少ないだけではなくて、労働者が単純労働や時間をお金に換えるその世界に馴染みすぎて、稼ぐ力や稼ぐための視点を持て無くなっていることでないだろうか。

音楽稼業は、たった一人の自営業者であり、もともと無いところに雇用と需要を創生するベンチャー・ビジネスだ(だって、極端な話自分がなくても世の中の音楽ビジネスは回ってますからね)。

御社の強みはなんですか、御社の企業理念はなんですか、と聞かれてしっかり応えられる商品や体制を作っていきたいと切に思う。

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