書きたいことがたまっているので、連続投稿します。
今日のお昼には、教室に1年通ってくださっていた生徒さんのレッスンがありました。
次回を最後に、レッスンをやめたいということでした。
こういうとき、ほかの先生はどういう反応をするのか分かりませんが、僕は自分の無力さにとても落ち込んでしまいました。
その方はフルートを買って、演奏できるようになりたいと、ずっと頑張っていました。僕は少しずつ上達していく姿を見るのが毎回楽しみでした。でも、ここ何回かは明らかにモチベーションが低下して、日ごろ練習をしている様子もなく、ずっと指導し続けていた演奏の基礎もできなくなってしまっていました。
もちろん、レッスンに来る方が皆が皆、進歩しなければいけないわけではありません。日ごろ全然練習できないから、レッスンの時間だけでも演奏できるのを楽しみにしているという方なら、レッスンの間に演奏を楽しんでいただければ、たとえ進歩がなくともこちらとしても嬉しいのです。また、僕との会話の時間を楽しみにしてくださる方もいます。
要は、生徒と講師どちらも貴重な時間を費やしているわけですから(生徒さんは更にお金も費やしています)、お互いにとって有意義な時間でなければ、お金も時間も全くの無駄なわけです。
それなら、どこかに散歩に行って、美味しいレストランで3000円のコースを食べたほうがずっとずっと有意義です。
僕は生徒さんが一人でも多く集まればよいと思っているわけでは、決してありません。最近は生徒さんが増えてきて、丁寧に一人ひとり教えることが出来る人数の限界を意識するようになりました。ある数を達したら生徒さんをそれ以上取らないようにする方針でいます。それはもうすぐそこのように思っています。生徒さんの個性も要求も無視して大量に同じような教育をするようなレッスンはしたくはありません。
生徒さんが音楽の楽しみを知り、楽器や知識にとらわれることなく音楽の基礎を身につけ、音楽を通じて何かを見つけることができたなら、どれほど講師冥利に尽きることかわかりません!毎回、どんな小さなことでも良いから何か学んで欲しいのです。
僕は、何の隠し事もなく知識も方法論もすべて教えるつもりでレッスンしています。もちろん、必要な時期に必要なものを与えることができるよう、適切な手順もまた常に意識しています。生徒さんが望み、僕が必要だと判断したら、何でも与えてあげたいと思っています。生徒さんが出来るようになりたいものがあれば、それを叶えられるように努力しています。
でも、生徒さんのモチベーションを上げることは、それとは別の問題です。
生徒さんが目的も無く漫然とレッスンに来ているだけなのに、僕があれこれ課題を出したり、目標を設定するのは無意味です。なぜなら人は、望んだものしか手に入れることができないからです。車の運転免許や資格の勉強とは違い、アイルランドの音楽を、ホイッスルを、演奏しなければいけない理由なんてどこにもないのですから。
目的の無い生徒さんとのレッスンほど、双方にとって勿体無いと思えるものはありません。逆に、生徒さんが好奇心旺盛に、スポンジのように吸収してくれると、こちらもノッてきて楽しくなり、何時間でも何でも教えたくなってしまいます(これは僕のいけないところだと思っています)。
生徒さんのモチベーションを上げるには、褒めるとか叱咤するとか色々な技があるのかもしれませんが、そんな小手先のことではなくて、根本的には自分が生徒さんの憧れになるような素晴らしい演奏や仕事をすることに尽きるのだと思っています。どうせ音楽を習うなら自分が感動できる良い演奏家に習いたいものですし、先生にとっても、自分のやるようにしか音楽は教えられないのですから。
以上の理由から、僕はレッスンで生徒さんのモチベーションをあげるために努力をしようという気にはなれません。それで生徒さんが減ってしまったとしても、その時間を自分のために使って、より魅力的な演奏家になるべく精進すべしと言われているのだと、考えるようにするつもりでいます。
こんな諺を思い出します。
You can take a horse to water, but you can't make him drink.
馬を水辺に連れて行くことは出来るが、馬に水を飲ませることは出来ない。
練習して、もっと魅力的な演奏家になるぞ!!